今回は30代半ばで妊活を開始された方の体験談をご紹介いたします。
初めは自身でタイミングを取って妊活をしていたそうですが、なかなか妊娠できず、いつまで続くかわからない妊活に大きなストレスを感じていたそうです。いつまでもストレスを抱え続けるくらいならと1年間限定で始めた不妊治療では、あえて負担の大きい治療を選び、妊娠を成功させました。
ぜひ最後までお読みください。
プロフィール
名前:Itukiさん(仮称)
妊活時の年齢:30代半ば
妊活期間:約1年半
不妊の要因:特になし
不妊治療:人工授精、体外受精
治療費:約70万円(内、補助金40万円)
1年限定で不妊治療を開始
夫とはお互いに30代半ばで結婚しました。入籍から半年、結婚式や海外への新婚旅行も済ませ、お互いの年齢も考え妊活をスタートしました。
まずは基礎体温を測り自己タイミングをとり始めましたが、半年経っても妊娠しなかったため、近所のレディースクリニックで内診とホルモン検査をしてもらいました。
結果は特に問題なく、医者にも「問題なさそうだしそのうち授かるわよ、思いつめないようにね!」と励まされたのですが、その後も一向に授かりませんでした。
私はもともと子供は何が何でも欲しい、と言う訳ではなく、夫婦二人で謳歌する人生もきっと楽しいだろうな、とも思っていました。しかし、夫は子供大好きで我が子を望んでいたし、一人っ子なので向こうのご両親もきっと楽しみにしているだろうな、と考えると、周囲から何か言われることはありませんでしたが、自分で自分にプレッシャーをかけ、だんだん生理が来るたびに号泣するようになってしまっていました。
健康的な生活を心がけ、タイミングをとった後は大好きなお酒も我慢し、薬も飲めず、でも毎月来るリセットに落ち込む、という生活を私は何年も続けることは出来ないなと感じていました。
だったら本格的な検査をしてどんどんステップアップし、それで授かったらラッキー、難しそうならもう妊活自体をきっぱりやめようと考え、1年限定のつもりで不妊治療を始めることにしました。白黒つけたいみたいな気持ちが大きかったです。
夫も私の考えに賛成してくれました。もともと妊活にもとても協力的で、特に考え方の相違はなく支えてくれて本当に有難かったです。
コロナ禍による失業で妊活にブレーキ
病院は、電車で15分ほどの不妊治療専門病院を選びました。
体外受精を見据え、1度の採卵で多くの卵が取れる高刺激法を行っていること、採卵時に麻酔が使えること、それから対人によるストレスは避けたいと思っていたので、医師や看護師さんの対応の評判が良いことが決め手になりました。
夫婦で詳しい検査をしても特に大きな問題は見つからず、その場合はタイミングから人工授精にしてもさほど妊娠率は上がらないと言われていたので、人工授精は2回だけやって駄目ならすぐ体外受精にステップアップしたいと希望を伝え、その方向で進めていくことになりました。
そしてそんな矢先、コロナによる緊急事態宣言が発令され、さすがに少し治療をお休みすることになりました。同時に、私のパート先がかなりの影響を受け、お仕事が全くなくなってしまいました。
このまま体外受精となると多額の費用がかかるため無職という訳にもいかず、治療と両立できそうなパートを新たに探すことにしました。
病院は基本的に朝一番に予約をして午前中で済ませ、午後からのシフトで働けるところ、また固定シフトではなく月ごとの自己申告で融通の利きそうな職場を選びました。扶養内で短時間勤務ということもありましたが、結果的に治療との両立で困ることはありませんでした。
負担の大きいアンタゴニスト法を選択
そして治療を再開し、2度目の人工受精が失敗に終わったので体外受精に進むことになりました。
私は採卵は1回だけのつもりだったので、1度でなるべく多くの卵子が取れる治療を希望し、高刺激法であるアンタゴニスト法で行うことになりました。注射回数が多い方法ですが、自己注射は怖く、通院も苦ではなかったので病院に通っての注射を選びました。
私の場合は月経開始3日目から8日間、hMG注射というものを肩やお尻に打ちました。場所は連日同じところにならないようにしながら、自分の希望でお願いできました。
途中から、採卵前に排卵してしまわないためのアンタゴニスト注射というものも追加で4回お腹に打ちました。
この一連の注射が痛いし副作用もつらい、という体験談が多かったのですが、幸いにも痛みや副作用はほとんどありませんでした。
注射のつらさを乗り越え妊娠!
そして採卵の日。この日は夫も付き添ってくれました。朝来院し、診察して排卵していないかなどを確認し、膣内の洗浄を行います。この洗浄が注射より痛くて辛かったです。その後は個室に案内され、専用のガウンに着替え呼ばれるのを待ちます。
そしていよいよ私の順番が来ました。手術室に移動し、ヘアキャップをかぶり眼鏡も外されます。念入りに何度も名前を確認され、手術台に横になって麻酔の点滴の準備をし、手足を固定されました。終始ドキドキしていましたが、採卵もいつもの担当医の先生だったので安心感がありました。
卵胞が多く育っていたので、全身麻酔で行いました。初めての全身麻酔でしたが、説明の後、では麻酔入ります、と言われたところですぐに記憶がなくなりました。
気が付くと個室のベッドで横になっていて、側には夫が座っていました。連日の注射を経て無事採卵が終わったことを「本当にお疲れ様」と労ってくれ、思わず一緒に涙ぐみました。
結果は、11個の成熟卵が取れ、翌日そのうち9個が受精、その後6個の胚盤胞を凍結、という予想以上の結果に夫婦でとても喜びました。
その後、有難いことに1度目の胚移植で陽性となり、現在妊娠中です。
まとめ
妊活をスタートさせて1年半、専門病院に通って8か月のことでした。
費用は検査で3万円、人工授精1回3万円、体外受精(薬や凍結代含む)で70万ほどかかりました。この他に診察代や交通費もかかっています。補助金は検査で5万円、体外受精で国と自治体合わせて35万円の予定です。
注射や薬の少ない方法だと金額は下がりますが、どちらにせよかなりの自己負担だと思います。
費用はかかりますが、体外受精ではうまく行けば凍結胚を残せることもあります。私のように高齢の場合、もし2人目以降を望む場合は凍結した年齢の時の胚盤胞を移植できることはメリットのひとつだなと感じました。
痛くて辛いイメージの不妊治療。始める前、「どうしても欲しいって気持ちがないと凄く辛いと思うよ」と友人に言われたこともありました。
しかし実際に行ってみると、次のような多くの幸運もあり、私にとっては想像していたほどのストレスはありませんでした。
夫が協力的で支えになってくれたこと
仕事との両立ができていたこと
選んだ病院、医師、治療法が自分に合っていたこと
痛いと言われる検査や、注射、採血が苦痛ではなかったこと
薬の副作用がほとんどなかったこと
1年だけ試してみようという気持ちでやっていたこと
体外受精を始める頃には以前のような追い詰められる気持ちはほとんど無く、もし出来なくても、ここまでやって駄目なら自分の中で諦めもつくし、もう妊活しないで自由に暮らそう!と思っていたことが気持ちの余裕につながったように思います。
私にとっては治療自体より「何年も妊活しつづける」ということが一番苦しいなと感じていたので、副作用などがあれば更に、通い続けるのは本当に大変なことだと思いました。
病院選びは大切だと感じました。
もし、実績はとても凄いけど医師もスタッフも冷たく、低刺激、無麻酔の採卵を推奨しているような病院だったら物凄いストレスだったと思うし、結果も伴ったかはわかりません。
もちろん人それぞれ大切にしたい部分は違うので、どういう方向で治療を進めたいのか自分でも良く考え、医師と合わないな、と思ったら転院するのも良いと思います。私は転院はしませんでしたが、担当医を途中で変えてもらいました。
今となっては、正直、もっと早く専門病院で詳しい検査なり進めても良かったなと思っています。治療前の方が毎月泣いて何が悪いのか悩んで精神的には辛かったです。
夫も悩む私に「不妊治療って凄くポジティブなことだと思うよ」と声をかけてくれました。治療を考えているのであれば、早めに行動にうつしてしまった方が前向きになれることもあるかもしれません。こんなケースもあるんだな、くらいに参考になると幸いです。
治療に対する経済的な負担が減り、職場や周りの理解も増え、子供を望むすべての方が幸せに暮らせますようお祈りいたします。