今回は20代後半で妊活を開始された方の体験談をご紹介いたします。
結婚してすぐに妊活を始めたものの、自己タイミングではうまくいかず、不妊治療を開始されたそうです。旦那様と二人三脚で体質改善などに励み、人工授精8回目で無事に妊娠をされました。
ぜひ最後までお読みください。
プロフィール
名前:Runaさん(仮称)
妊活時の年齢:20代後半
妊活期間:約2年間
不妊の要因:多嚢胞性卵巣症候群、精子の運動率が悪い
不妊治療:タイミング法、人工授精
治療費:約20万円(内、約10万円の助成金あり)
目次
私たち夫婦のこと
結婚時の年齢:夫、私 20代後半
妊活を開始した年齢:結婚後すぐ
第一子を妊娠するために妊活・不妊治療を行いました。
不妊治療の決断理由・病院の選び方
結婚後すぐ避妊なしでの行為をするようになりましたが、半年たっても妊娠できませんでした。そこで、インターネットで調べ、基礎体温を測ったり、排卵日を予測したりする本格的な妊活を開始しました。半年ほど自己流でのタイミング法に取り組みましたが、妊娠することはできませんでした。
その頃、私たちが結婚してから1年程経っており、私より後に結婚した友達から妊娠したと聞くことが増え、焦りを覚えるようになりました。「もしかして不妊なのでは…」と考え、夫と相談して、病院で検査してもらうことになりました。
病院を選ぶ時には、まず、ネットの口コミを調べました。また、車と電車両方で通うことができるように、病院の立地も考えて選ぶようにしました。
初めて予約するときには、「病院に通うほど深刻なのか?考えすぎなのではないか?」という気持ちもあり、とても勇気のいる一歩でしたが、早めに検査を受けたことは正解でした。
実際に行った不妊治療
私たちが妊娠するまでに行った主な治療は3つです。
様々な検査
まず、2か月ほどにわたりいくつかの検査を受けました。私は、卵管機能やホルモンの量を調べるための採血や卵管が詰まっていないか検査する子宮卵管造影検査などを行い、夫は精液検査を受けました。夫婦の頸管粘液と精子の相性を調べるためのフーナーテストも行いました。
初めて検査について病院で説明を受けた時には、こんなに検査を受けなくてはいけないのかととても驚きました。
検査を一通り終えてわかったことは、夫婦それぞれに問題があるということでした。夫の精液検査では、精子の運動率が悪いことがわかりました。WHOの基準が40%に対して、夫の精子の運動率は4.5%しかなく、体外受精でないと子どもはできないかもしれないと言われました。
その言葉を言われたときはとてもショックでしたし、仕事で一緒に来ることができなかった夫にどう伝えたらよいだろうと悩みました。
次に、私の抱える問題は、多嚢胞性卵巣症候群気味という診断でした。卵子が複数育ちすぎており、一つ一つの卵子の質が悪くなっていると言われました。また、フーナーテストでも問題があり、ほぼ精子がいないため検査できないと言われてしまいました。
まさか今まで健康に生きてきた私たちに不妊の原因があったなんて思いもせず、唖然としました。同時に、早く検査を受けてよかったと感じました。
タイミング法
検査を受けている間に2か月ほどタイミング法を行いました。排卵日数日前に卵子の大きさを調べてもらい、排卵日を正確に予測するというものでした。もともと自己流のタイミング法を半年ほど行っていたこともあり、検査結果が出るとすぐに人工授精にステップアップしました。
人工授精
検査結果が出てから、すぐに人工授精を始めました。人工授精とは、男性の精子を直接子宮に注入する方法です。運動率が悪く、子宮まで精子がたどり着けない場合に有効な手立てだと説明を受け、行いました。
人工授精自体は、大きな治療ではありませんでしたが、精子を洗浄するための待ち時間が長かったり、排卵を促すために打つ筋肉注射が痛かったりと小さなストレスはいくつかありました。
一般的には、人工授精を5・6回行い、結果が出ない場合は、体外受精や顕微授精にステップアップすることを進められますが、私たちは、体外受精を行うことはしませんでした。結果的に人工授精を8回行い、妊娠することができました。
体外受精を行わなかった理由
人工授精が5回終わったころ、お医者様から体外受精をやるのはどうかとお話がありました。しかし、いくつかの理由から決断できずにいました。
一つ目は、金銭的負担です。体外受精には人工授精の何倍もの費用がかかります。また、一度で妊娠できれば良いですが、失敗した場合金銭面、精神面で何度もチャレンジすることはできないという不安もありました。
二つ目は、採卵の恐怖です。私は注射や採血すら苦手です。そんな私が採卵に耐えられるのかという恐怖がありました。不安のある納得できていない状態で高額な体外受精を受けることはできないと考え、自分が決断できる時まで人工授精をしていこうと決めました。
治療の悩み・大変だったこと
女性ばかりが痛みをともなう
採血・注射・卵管造影検査など痛みをともないながらの治療が多かったです。「夫にも問題があるのにどうしてわたしばかり…。」と不公平感を抱いてしまうこともありました。
また、生理が来るたびに襲う絶望感や治療が無駄になってしまったというショックは、夫には完全に理解できないものだと思います。そういった精神面での痛みもつらかったです。
夫を傷つけずに一緒に治療する
夫にも不妊の原因があったため、どのように伝え、どのように向き合っていくのか悩みました。検査結果を伝えるときも傷つけないように言葉を選びました。
私が気を付けたことは、お医者様から言われたことを感情を入れず淡々と説明すること、責任を押し付けるのではなく一緒に解決したいという気持ちを示すようにしたことです。考えを押し付けるのではなく、一緒に精子についてインターネットで調べたり、できることを提案したりすることで同じ目標に向かって一緒にがんばれるようにしました。
しかし、上記で書いたような不公平感を感じることもあり、「もう疲れた。私ばかりがんばっている。」という気持ちを吐き出してしまうこともありました。そのときの夫の申し訳なさそうな悲しそうな顔は今でも覚えています。自分自身の気持ちを整理しながら夫と向き合うことはとても大変でした。
仕事との両立
治療には、お金だけでなく時間と精神的、肉体的負担がかかります。私は、もともと仕事で精神病になったことがあり、ずっと薬を服用していたため、体外受精も視野に入れて、通院を始めてから退職しました。
仕事を辞めるまでは、排卵の時期が近くなると夕方まで勤務し、通院、帰宅した後家でも仕事をするという生活をしていました。今考えると心にも体にも余裕のない生活でした。
仕事を辞め、断薬したことで体重が減り、標準体型になりました。もちろん仕事と治療の両立ができることが一番だと思います。しかし、もし仕事を続けたまま不妊治療をしていたら、心も体も妊娠に向けて整えることはできなかったと思います。
やりがいのある仕事でしたが、自分の人生を考えた時に「子どもは年齢が若いうちにしか授かれない。仕事は何歳からでも始められる。」そう思い、退職を決意しました。
不妊治療以外に取り組んだこと
病院の治療以外に精子の運動率の改善のために自分たちで取り組んだことがあります。
まず、健康的な生活のためにジョギングなどの軽めの運動を行いました。また、仕事が忙しくてもできるだけ早く寝て、夜更かしをしないように心がけました。さらに、熱がこもらないようにボクサーパンツをやめてトランクスに変えたり、長風呂しないように気を付けたりしました。
食事面では、亜鉛のサプリを摂取し、オメガ‐3脂肪酸が含まれる青魚やナッツなどを意識的に摂取するようにしました。
その結果、精子の運動率は20~30%ほどまで改善できました。
治療の費用
検査から妊娠判明まで総額20万程かかりました。しかし、県や市町村ごとに不妊治療の手当てがあるので、実質かかった費用は10万程です。
治療の結果
8回目の人工授精で妊娠しました。そのときの人工授精で用いた精子の運動率は20%で、決して良い数値ではありませんでした。また、病院の休診日の関係で排卵予定日の3日前に人工授精を行ったので、お医者様も妊娠に驚いていました。
どうしてこのタイミングで妊娠できたのか科学的な根拠はわかりませんが、いつもと違うことが二つありました。
一つ目は、体の健康です。このころ私は、新しいパートの仕事を初めて数か月たっており、歩くことが多い仕事だったため、無理のない程度で体を動かして過ごしていました。
二つ目は、心の健康です。パート先の人からわくわくするような話を聞いたり、自分の悩みを相談したりすることで、いつもうまくいかなかったらどうしようと悩んでいた気持ちが消え、ストレスがなくなったことも要因なのかもしれません。
おわりに
私たち夫婦は、約2年間妊活や不妊治療を行ってきました。不妊治療を通して、大切だと思ったことは夫婦で治療に取り組むということです。
妊娠するのは女性ですが、それは夫である男性の子どもを妊娠するのです。女性一人では妊娠できません。だから、男性も自分のことのように考え、二人で一緒に治療していくことが大切だと思います。
また、自分と夫の体や心の健康があって初めて、不妊治療にもしっかり向き合えると思います。私たちの不妊治療の経験が誰かのお役に立てれば幸いです。
伝えたときの夫の反応は、「あー、、、そうなのか、、、。」でした。怒るとか取り乱すとかではなく、とにかく自分に問題があったことにショックを受けていた様子でした。