妊活の体験談

【体験談095】不妊治療は夫婦の足並みを揃えることが大切。8回の人工授精と2回の体外受精の結果、見事妊娠された体験談をご紹介。

体験談の画像97

今回は32歳で妊活を開始された方の体験談をご紹介いたします。

不妊治療を始めた当初は、治療さえ受ければすぐに妊娠できるものと考えていたそうです。しかし、人工授精を8回経験しても妊娠することができず、ステップアップの不安や今後も妊娠できないかもしれない不安を感じたそうです。不安に負けず夫婦で協力して治療を続け、体外受精2回目で妊娠をされました。

ぜひ最後までお読みください。

プロフィール

名前:Saekoさん(仮称)

妊活時の年齢:32歳

妊活期間:3年間

不妊の要因:精子が少ない、卵管の詰まり

不妊治療:タイミング法、人工授精、体外受精

治療費:約200万円

不妊治療までの経緯

私たち夫婦は私が30歳、夫が29歳の時に結婚しました。結婚当初、私が転職したばかりであったこともあり、夫婦生活はありましたが、積極的にタイミングをとることはありませんでした。(不妊治療の深みにはまったとき、このことをめちゃくちゃ後悔しました。)

結局、2年間、妊娠しませんでした。私は「不妊かもしれない」と思い始め、アプリなどで基礎体温を測って、タイミングをとりましたが、毎回生理が来ました。

32歳の時に初めて不妊のクリニックに連絡します。私は田舎に住んでいるので、不妊専門のクリニックも通える範囲では2件しかありません。選択肢がとても少なかったです。

もう一つのクリニックは、産科も兼ねていて、なんとなく専門的でないような印象を受けたので、不妊治療だけを行うクリニックを選択しました。ネットを中心に色々調べましたが、結局口コミもすごく少なく、HPの情報しかないので選びにくかったです。

不妊治療に進むことに躊躇はほとんどありませんでした。私は、10代から生理痛がひどく、痛み止めがなくては立ち上がれない程でした。そのため、何回か産婦人科にも行って原因を調べてもらっていました。(特に異状なしでしたが。)自分の子宮や妊娠力を漠然と信用していませんでした。また、年齢も30歳を超えていて、早く子供が欲しいという気持ちがありました。

夫もなかなか妊娠に至らないことに焦りを感じており、私が不妊治療をしたいことを打ち明けると「実は、同じことを考えていた」と言ってくれました。この後も、とても積極的に治療に参加してくれました。

4月にクリニックに電話しました。新規であることを伝えると、4カ月待ちだと言われました。とても驚きました。すぐに治療を始めようと意気込んでいたので、夏まで待たないといけないのかとがっくりしました。仕方ないので4か月間は自己流でタイミングを取りました。が、毎回きっちり生理が来ました。

しかし、このころはまだ気持ちに余裕がありました。治療すれば、すぐに妊娠できると思っていたからです。

クリニックの印象

8月になり、初めてクリニックに行きました。クリニックは病院というよりも、喫茶店のように柔らかい雰囲気でいたるところに花が飾ってありました。先生は優しい雰囲気の年配の男性で、何でも話しやすい雰囲気がありました。

私は本当ラッキーだったと思います。不妊治療を続けていくうえで、先生やクリニックとの相性はとても大切だと思います。不妊治療はとても辛いので、少しでも不信感があると、それが何倍にも膨れ上がり、精神的に辛くなります。私がお世話になったクリニックは私にとてもあっていたので、不妊治療を続けることができたのだと思います。

私がお世話になったクリニックは、詳しい治療内容の話をしない方針でした。不妊治療第一の生活になってもいけないから、なるべく不妊のことは考えないようにしないとも言われました。基礎体温もはからなくていいと言われました。重荷になっていたので、少し嬉しかったです。

最後に「一緒に頑張ろうな」と言ってくれました。これが私の不妊治療のスタートでした。32歳でした。

不妊治療について

私が行った治療は以下の通りです。

タイミング+投薬(数回):排卵日を定めて、タイミングの指示を出されます。着床しやすくなる薬も服用しました。

検査:タイミングと並行して行いました。結果、私は片方の卵管が詰まっている、夫の方は精子の数が少ないことが分かりました。

人工授精(8回):夫の精子が少なく、タイミングだと妊娠がほぼ不可能であることが分かり、人工授精に切り替えました。

体外受精(2回)

人工授精について

人工授精は痛くないと聞いていたのですが、初回の人工授精はとても痛かったです。次は痛くなかったのですが、初回が痛かったので、いつも怯えながらやっていました。

2回目の人工授精で生理が5日ほど、遅れました。私は妊娠した気でいました。

このころ、同僚も妊娠しており、不妊治療を行っていた私は内心、もやもやしていました。治療を続けているのに、成果が出ない焦りと、他の人は妊娠できることへの妬み、そして、他の人の妊娠・出産のサポートのために仕事がたくさんこっちにやってくる苛立ち。不妊のどす黒い感情を表に出さないように必死に抑え込んでいました。とりあえず笑顔だけは顔に張り付けていましたが、みじめでした。

同性の同僚は同僚の大きくなっていくお腹をなでたりしていましたが、私にはできませんでした。妬ましくてとても触れない気持ちが8割、私みたいな不妊が触ると、何かお腹の赤ちゃんに悪影響があるのではないかと心配する気持ちが2割でした。バカみたいな話ですが、本気でそう思っていました。

そんな中、人工授精で生理が遅れ、毎回きっちり生理が来ていた私は「ついに!」と浮かれました。まだ使用には早かったのですが、妊娠検査薬を使ってみました。結果は真っ白。見慣れた真っ白。嫌な予感がしました。

ですが、使用できる日に達してないからだと、自分を励ましました。次の日の夕方、生理が来ました。その日は、職場から泣きながら帰宅しました。3回目も陰性。4回目も陰性。

治療を始めた当初32歳でしたが、クリニックの先生は「まだ若いし、特に問題もないし、大丈夫」と言っていました。しかし、人工授精の連続陰性で、私は確実に不妊なんだと自覚しました。治療すれば、妊娠できると思っていましたが、それはとても甘い考えでした。

体外受精と妊娠できないことへの不安

人工授精は6回までにほとんどの人が妊娠するといわれています。そして、6回以上やっても妊娠しないならその後続けてやっても妊娠するのは難しいと言われています。祈るような気持ち3割、無理だろうというあきらめ7割で行った6回目の人工授精。

やっぱり生理が来ました。体外受精まではしたくなかったなぁというのが正直な気持ちでした。体外受精について、色々調べていましたが、恐怖しかありませんでした。

採卵が怖い。治療費が莫大。仕事との両立が難しい。一端、身体から卵子を取り出してまた戻すという治療の過程。人工授精とはけた違いにハードルが高かったです。ですが、私は、体外受精をしても子供は欲しいと思っていました。夫に相談すると、おおむね同じ意見でした。

しかし、自分たちからステップアップのことを言い出すのを躊躇してずるずると人工授精を続けました。が、ついに先生の方からステップアップの話が出ました。私が通っていたクリニックでは体外受精についての説明会に参加しないと、ステップアップできません。その説明会は一番近いものがもう満席で、次回は数カ月後という話でした。私はその場で、説明会の予約をしました。

当時、私の仕事も忙しく、どうしても譲れない仕事の都合などもあり、不妊治療を優先できないこともありました。体外受精をすると決めたと同時に、私は退職を決意しました。人工授精でぎりぎり仕事との両立ができていた状態だったので、体外受精の場合、無理だと思ったからです。他の選択肢はないか検討をしましたが、退職は避けられませんでした。不妊治療をしていることは上司だけには伝えていたので、退職の半年前から相談し、計画的に退職しました。

本当はキャリアを手放したくはありませんでしたが、仕事はまた復職すればいいだけですが、妊娠は今の時期を逃すとますます困難になることが分かっていたので、後悔はありませんでした。

治療開始から2年がたち、34歳になっていました。

とはいうものの、体外受精をしたとしても妊娠できる気がしませんでした。不妊の泥沼にずっぽりと沈み込んでいる感覚でした。このころ、夫とは「もし子供が出来なかったら」という話をたくさんしました。二人で楽しく暮らそう、二人でも楽しい人生にしようねと言っていました。

夫は治療に積極的で、検査も嫌がらなかったし、自分にも不妊の原因があると分かると、サプリを頼んだり、ネットで精子にいいことを調べたり、改善に努めていました。(残念ながら、あまり効果はなかったです。)

人工授精には付き添ってくれました。会社の休みをとり、病院で採精し、人工授精が終わるまで待ってくれました。予約制でしたが待ち時間はいつも3時間ほどです。いつも寄り添ってくれたので、私も前向きに治療に臨めたと思います。

男性側に不妊の原因があっても、治療を受けるのは女性です。不妊治療は、とにかく辛いです。診察台に乗るのだってメンタルを削られます。毎回、薬を飲み忘れないように気を配ったり、クリニックの待ち時間で数時間を失ったり……。そんなに頑張っているのに、毎回生理が来る辛さ。男性には、精神的に女性を支えてほしいと思います。

私たちの場合は、二人に不妊の原因があったので、二人で足並みを揃えることができたのかもしれません。ある意味、幸運だったと思っています。

夫に支えられながらも、不妊治療のストレスはたまり続けます。私は、ストレス解消と体質改善のために、ヨガを始めました。体を動かすとすっきりしました。また、不妊治療のことを書いたブログも始めました。誰かに聞いてほしかったのですが、不妊治療のことは誰にも言ってなかったので、匿名でネットの世界で自分の素直な気持ちを書き、もやもやを消そうと思いました。気持ちの整理にもなるし、やってよかったと思います。

2回の体外受精で無事に妊娠!

そして、最初の体外受精をしました。高刺激を選択したので、たくさん注射を打ちました。恐れていた採卵は麻酔が使われたので、恐怖心はかなりなくなりました。が、採卵の途中で麻酔が切れ、途中から半分覚醒したまま、採卵されてしまいました。

結局19個、採卵できました。が、未熟な卵子が多かったと言われました。さらに、受精卵になったのはたったの1個でした。他のクリニックではグレードなどを詳しく教えてもらえるそうですが、私は「いいのができたよ」としか教えてもらえませんでした。グレードが知りたい気持ちが半分、知ったところで、1つしかないので変に調べて悩むよりは知らなくていいかという気持ちが半分でした。

そして、無事、受精卵をおなかに戻し、しばらく着床を助ける薬を服用しました。結果を聞きに行く前日。久しぶりにフライングをしました。

妊娠検査薬の反応を待つ間は、ワクワクより、圧倒的不安を感じていました。しかし、このころは、妊娠しないことが当たり前になっていました。結果は、うっすら、線が見えました。初めての経験でした。「いや、淡い期待を抱くとだめだった時、辛い!」と思い、期待は一切しない状態で、クリニックに行きました。

結果は妊娠!初めての妊娠でした。泣きました。すぐに夫に電話をして、憧れのたまひよを買いました。経過は順調で心拍も確認し、お互いの両親にも報告、母子手帳ももらいました。不妊のクリニックを卒業し、行く場所は産院に変わりました。完全に浮かれていました。夫も毎回一緒に来てくれていました。

初期流産の心配がある12週もこえ、完全に不安よりワクワクの方が上回った検診で、繋留流産を告げられました。11週を過ぎたあたりで胎児はなくなっていました。信じられませんでした。が、同時に不妊の沼にどっぷりとつかった感覚がありました。

結局、あきらめきれず、無駄とは分かっていたのに、不妊のクリニックに連絡し、エコーをしてもらいました。そこでも心臓が動いてないと言われ、ようやく現実を受け入れました。大泣きしました。そこで言われたことは「染色体検査をすること」でした。

今回の流産の原因が母体にあるのか(不育症など)、胎児にあるのかはっきりさせるためにも検査をした方がいいと勧められました。安くはない検査でしたが、やってよかったです。結局、胎児の染色体異常が分かりました。

流産の手術では看護師さんにもたくさん励まされました。「お母さんは妊娠する力がある。そのことを教えてくれたんだよ」と言われました。また、「流産はよくあること。お母さんは悪くない」とも言われました。「また、産院に戻ってくるんだよ」とも言われました。

とても辛くて、しばらくは泣いてばかりでしたが、時間がたつとともに、気持ちが前向きになってきました。が、なかなか出血が止まらず次の治療に進めませんでした。その間に、子宝にご利益のある寺社へ旅行に行ったりもしました。少しでも成功率をあげるために鍼灸にも通い始めました。

そして、次の体外受精で、無事、妊娠・出産をすることができました。前回のこともあり、不安過ぎて、妊娠生活を全く楽しめませんでしたが、ブログで不安を吐き出したりしてなんとか気持ちを整えました。

不妊治療を始めて約3年。35歳でした。

不妊治療に使ったお金は、あえて計算してませんが、200万くらいは使いました。(私たちは共働きだったので、年収の条件に当てはまらず助成金はもらえませんでした。)

さいごに

辛いことばかりの不妊治療でしたが、副産物として夫婦の絆は強くなったと思います。自分の力ではどうにもできない困難にもぶち当たったので、人間的にも少し磨かれたかもしれません。

不妊治療を行ったとしても、確実に授かれるものではありません。本当に妊娠・出産は奇跡だと思います。私は子供は二人欲しいと思っているので、また、不妊治療を再開するつもりです。貯卵ゼロなので、また採卵からスタートです。でも、もう一度奇跡を起こしたいので、不妊治療を頑張りたいと思います。

私も含め、子供を臨む人たちの元に赤ちゃんがやってきますように。

Q&A

ももちゃん
不妊治療をされている方は「染色体検査」をしたほうがよろしいのでしょうか?

「染色体検査」とは「出生前診断」のことでよろしいでしょうか? これは、不妊治療をしている年齢や期間、夫婦の考えで答えが全く違ってくると思います。ですので、あくまで私の考えということでお話しさせてください。

私は一度流産をしました。(それまで、妊娠したら出産できると考えていたので、大変ショックでした。) そういうこともあり、積極的に中絶につながるような検査はしたくないという考えで出生前診断はしませんでした。しなかったので、妊娠中は非常に精神的に不安定でしたが、生まれてきてくれたら、たとえ障害があっても生きていく力もあるだろうと考えていました。(とはいうものの、産まれる直前まで死産したらどうしようとか不安で辛かったです。)

主人の方は、私より楽観的ではありましたが、障害があったとしても、中絶はしないという意見だったので、やっても意味がないという考えでした。(多分、障害について詳しくは考えていないか、知らないという面もあったんじゃないかと思ったんですが、藪蛇したくなくてそのままにしています。)

ちなみに、同じような検査でも、「着床前診断」ができるのであれば、絶対やります。それこそ、二度と流産をしたくないので。 (「出生前診断」はやろうと思ってもそんなにハードルが高くないのに、「着床前診断」はほとんど実施不可能であることに日本の不妊治療の闇を感じます……。)

※私が受けた「染色体検査」は流産した胎児の染色体検査です。これをすることで、胎児に染色体異常があったかどうかが分かります。流産の原因を調べるためにやりました。(初期流産の原因はほとんどが胎児の染色体異常です。)

実は、この検査をしたいと産院の方で言ったら「やったことがないから、できるか分からない」と言われました。不妊治療していない人は流産しても、原因を検査しない?もしくは、この検査自体を知らないのかな?と思いました。 また、不妊クリニック(「流産の原因を知るためにも絶対した方がいい」)と産院「「なんでまたそんな検査をするんだろう?」)でかなり反応が違ったのも印象的でした。

不妊治療をしている人は、もし流産してしまったら、染色体検査はした方がいいと思います。(自費ですが……。)もしかしたら、不育症かもしれないからです。そしたら、何度も流産してします。不育症でも治療法はあるので、早く分かった方がいいと思います。

ももちゃん
みなさまの妊活がうまくいくことをお祈りしております。

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